「外側と内側」Open House in Londonin private

 
date:2010.09.23   posted by:aita
 

こんにちは、会田です。

簡単な自己紹介として、留学したロンドンの大学を卒業後フリーランスのデザイナーとして働いています。
デザイニウムのメンバーとは大学時代からの付き合いで今もいくつかのプロジェクトをご一緒させてもらっています。

さて、今日は英国ロンドンからのレポートです。

9月18、19日に「Open House」というロンドン市内の建築イベントに行ってきました。
普段は公開されていないビルや住居の内部を見ることができます。
その中からロイズ・オブ・ロンドンとシティ・ホールを見学してきました。
http://www.londonopenhouse.org/

ロイズ・オブ・ロンドン
保険取引所。ロンドンの金融街、シティと呼ばれる東のエリアにある。
http://www.lloyds.com/

歴史
1668年コーヒーハウスから始まった。当時、航海のためのニュースを提供していた。そこに船乗りや船のオーナー、海運業者らが集まっていた。それから現在の保険取引業へ発展する。

建築家
Richard Rogers
http://www.richardrogers.co.uk/work/buildings/lloyd_s_of_london
パリの美術館「ポンピドゥー・センター」も有名。

外装
配管で覆われた金属剥き出しの外壁が工場を思わせる。
デザインされていないパーツで組み合わされた機械のよう。
無骨な外観は個人的には好きだ。

内装
外部の重い印象とは対照的だった。初めに入ったグラウンドフロアは、仕切りの壁も無く広い。中央には時計と鐘のついた木製の演説台があって、その真上に最上階までの吹き抜けの空間が広がっている。忙しく働いているのだろう、散らかった書類や灰色のPCモニタの置かれたオフィスデスクが、フロアの端から端まで並んでいる。その辺りは綺麗とは言えないが、全体としては高い天井と吹き抜けのおかげか気持ちの良い場所。

インパクトがあるのが、まるでスペースシャトルの噴射口のような傘のついた照明が天井にびっしり取り付けられていること。コンクリートで作ったボルトとナットのような柱が最上階まで伸びていること。黄色がアクセントになった駆動部分が剥き出しのエスカレータが、フロア中央をジグザグと上っていること。

結構アクの強いディテールで構成された建築だが、外観と比べるとずっとすっきりした印象。建物としての機能部分、エレベータや階段、配管類を含めて徹底的に外壁に配置されている。フロアを貫く太い柱もなくや壁を這う配管もなく、きれいな真四角の空間が広がっている。四方は窓で囲まれていてほどよく明るいし、柱も形は変わっているけど比較的細くて圧迫感はない。

建築外壁に取って付けられたような、視界を全く遮らないガラスのボックスのようなエレベータに載って上階へいく。天気も良いし遠くの方の景色まで見渡せて気持ちがいい。この辺りを通る度にスーツを着たビジネスマンが上り下りしているのを良く見たものだ。曇りガラスが使われている訳でもないので、こちらからもあちらからもお互いに良く見える。

最上階の天井は細いフレームでアーチ状になっていて綺麗。ステンドグラスでは無いけれど教会のような印象がする。そこから差し込む光は十分に明るいが、今日は晴れで、曇りの日なら少し薄暗いかもしれない。グランドフロアの中央から天井まで伸びる柱が見下ろせる。

まとめ
「機能主義」建築と呼ばれているらしい。保険取引をする空間としての機能を優先し、内側に仕切りも無いオープンなフロアが作られている。定期的にメンテナンスの必要な配管やエレベータなどは、アクセスのし易さから外側に配置されている。内側で行われている業務に出来るだけ干渉しないようとの意図もある。同じ建築家の他の作品、パリのポンピドゥーセンターも階段が外壁に付けられているのだが、むしろそれが建築のアイデンティティになっていたりする。このロイズビルも特に外観は個性的だ。


シティ・ホール
テムズ河にかかるタワーブリッジの横にある卵型のロンドン市庁舎。
http://www.london.gov.uk/city-hall
City Hall, London

建築家
Norman Foster
http://www.fosterandpartners.com/projects/1027/Default.aspx
Swiss Re HQ、通称「ガーキン(ピクルスようのキュウリの意)」もロンドンのシンボルビルの一つ。

外装
輪切りにスライスされた卵が少しずつズレているような形をしている。このズレが南を向いており庇の役割をしている。出来るだけ表面積を減らし外からの影響を少なくし、エネルギー効率を良くするためにこういう形になっているよう。ロイズとは違う形で機能を追求していった結果この形になっている。外から見えないが内側には、南側にオフィス空間があり、北側に螺旋状の階段がある。

内装
初めエレベータで最上階の展望台へ行く。周り360度見渡せる。ロンドンに住んでいてもこういう展望台に来ることはあまりないので、良く行く場所や知っている建物を見ていて飽きない。コーヒーを飲みながらゆっくりと1時間も過ごしてしまった。

ここから北側にある螺旋階段を降りる。綺麗な階段なのだが、カーブのいびつな螺旋で一番下の階まで見えるわけじゃない。普通の螺旋階段ならばほとんど同じ様子で下の階が見えてくるのだろうが、上下のフロアで少しずつポジションが変わるので、そんな風に素直に見下ろせない。毎度、風景が変わって面白い。5、6フロア分の階段に20分もかけてゆっくり歩いてきてしまった。

階段の南側の各フロアに、ロンドン市庁舎としては十分ではなさそうなオフィス空間がある。業務を分割して他の場所でも行っているのだろう。北側には、三角のフレーム兼、柱の隙間からテムズ側を挟んでシティのビル群が見える。その中にロイズビルとガーキンもある。

本当に全く予備知識なしに来たので、階段の真下のフロアに会議室があることにびっくり。こんなオープンな場所で会議をしていたら、建物内にいる人にはすべて聞こえてしまいそう。普段ここは市民にも解放していて会議を聴きに来ることができるそう。

まとめ
ロンドンに住み始めて3年になるが、どちらも着いた1日目から目にしていた建築。派手で変わった建物だなと初めから今まで思っていた。その外見に目を捕らわれ特に内側のことを調べたことがなかった。当たり前だけれど、一つのコンセプトがあって、外側には外側の、内側には内側の、各々の表現を持って成り立っていることを実感した。

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Lloyd’s of London
City Hall

 
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